評価替事務の今後のあり方を考える ~ Vol.2
2025.03.06
VOL.02 申告主義の部分的採用
地方税法の建前からいうと、評価から課税に至る全てのプロセスについて一方的に市町村が全責任を負うような仕組みとなっているため、 市町村の負担は大きく、それが評価替事務の外部委託に繋がり、巡り巡って納税者の負担となって跳ね返ってくるという悪循環になっている。
ところで、地方税法では小規模宅地の減額の特例等のように、納税者に申告させることができるとの規定がなされている。
しかし、現実には納税者がよく分からないため、課税側が全てチェックしているのが実情である。
したがって、納税者の課税財産である課税客体の現況等について、少なくとも評価替年度毎に申告義務を課すようにすれば、納税者の意識も向上し、自己の財産についてチェックを心掛けるようになり、その結果として現況等の相違による課税誤りも相当減少するものと期待される。
地方税法の建前からいうと、評価から課税に至る全てのプロセスについて一方的に市町村が全責任を負うような仕組みとなっているため、 市町村の負担は大きく、それが評価替事務の外部委託に繋がり、巡り巡って納税者の負担となって跳ね返ってくるという悪循環になっている。
ところで、地方税法では小規模宅地の減額の特例等のように、納税者に申告させることができるとの規定がなされている。
しかし、現実には納税者がよく分からないため、課税側が全てチェックしているのが実情である。
したがって、納税者の課税財産である課税客体の現況等について、少なくとも評価替年度毎に申告義務を課すようにすれば、納税者の意識も向上し、自己の財産についてチェックを心掛けるようになり、その結果として現況等の相違による課税誤りも相当減少するものと期待される。
評価替事務の今後のあり方を考える ~ Vol.1
2025.02.27
VOL.01 はじめに
担保執行法制の改正については既に周知のことと思われるが、ここであらためて改正に至る経緯とその後の状況並びに今固定資産評価の問題は、つまるところ市町村の説明責任に尽きると思われる。
しかし、前述したように土地評価当たっては複雑多岐にわたる行政法の問題の他、評価要因の選定やデータの精度管理等、一担当者の能力の限界を超える問題も少なくない。
このような中で、各市町村が評価そのものを外部に委託する方向に行くのは仕方ないとしても、基本的な部分、つまり道路の管理、土地図面の整理、都市計画法・建築基準法等のルールの明確化・開示等の、評価の基本となる基礎的インフラ整備がなされないことには、何時までたってもミスはなくならない。
評価に完全を求めれば究極的には1筆実測・1筆鑑定となり、コスト的には破綻するほかはない。
したがって、評価精度の向上にも限界があるということを認識する必要がある他、課税客体の全てについて毎年賦課期日現在の現況を把握するということにも自ずと限界があるということになる。
過去の判例をみても、小さな点にミスがあっても全体として著しく合理性を欠かなければ適法と判断しているようであり、そうだとすれば、粗削りの公平が確保されていれば良いということになる。
これらの点を踏まえ、納税者の視点・徴税コスト・課税事務量の軽減等の観点から固定資産評価のあり方・仕組みについて検討してみたい。
担保執行法制の改正については既に周知のことと思われるが、ここであらためて改正に至る経緯とその後の状況並びに今固定資産評価の問題は、つまるところ市町村の説明責任に尽きると思われる。
しかし、前述したように土地評価当たっては複雑多岐にわたる行政法の問題の他、評価要因の選定やデータの精度管理等、一担当者の能力の限界を超える問題も少なくない。
このような中で、各市町村が評価そのものを外部に委託する方向に行くのは仕方ないとしても、基本的な部分、つまり道路の管理、土地図面の整理、都市計画法・建築基準法等のルールの明確化・開示等の、評価の基本となる基礎的インフラ整備がなされないことには、何時までたってもミスはなくならない。
評価に完全を求めれば究極的には1筆実測・1筆鑑定となり、コスト的には破綻するほかはない。
したがって、評価精度の向上にも限界があるということを認識する必要がある他、課税客体の全てについて毎年賦課期日現在の現況を把握するということにも自ずと限界があるということになる。
過去の判例をみても、小さな点にミスがあっても全体として著しく合理性を欠かなければ適法と判断しているようであり、そうだとすれば、粗削りの公平が確保されていれば良いということになる。
これらの点を踏まえ、納税者の視点・徴税コスト・課税事務量の軽減等の観点から固定資産評価のあり方・仕組みについて検討してみたい。
担保執行法制の改正と競売の今後の動向 ~ Vol.10
2025.02.20
VOL.10 民間競売導入の前提条件と今後の動向
以上を総合すると、現時点で想像できる条件は少なくとも次の二つは必須と考える。
1.債務者・所有者・その他の利害関係人(賃借人等)が納得して協力してくれること。
2.配当計算が不要な物件であること。
1の条件がクリアーできなければ、結局執行官にお願いする他はない。
2の条件は、土地・建物の抵当権が同一の債権者であることを意味する。
もし異なる抵当権があれば、配当計算という問題が生ずるため、現況調査と評価人による評価は必須となる。
つまり、配当計算のために内訳価格の評価が必要となるからである。
民間競売で評価するとなれば、評価基準や評価人の教育訓練が必要となるが、そんなことに時間をかける位であれば、現行の司法競売でも十分ということになる。
したがって、民間競売で対応できる案件は極めて少なくなるものと思われ、法改正の実効性に疑問が残る。
ところで、先の二つの条件が整っている物件は、現在でも司法競売ではなく任意に売却されている。
つまり民間競売にすぐに移行できるような物件は、裁判所の手を煩わすことがないということである。
昨今の競売事件の減少をみるにつけ、世の中は既に民間競売にできるものは民間競売に移行しているということを実感せざるを得ない。
申立から売却までに半年から1年で、しかも90%超が売れているということを考えると、民事執行法を改正して民間競売制度を導入する必要性を感じることはできない。
個人的には民間競売を否定するものではないが、不動産の取り扱いや金融制度・文化等の相異から、先に述べたように必ずしも日本になじまないものと思われる。
仮に導入するとしても、関連法整備の煩わしさや実効性等を勘案すると、結局のところ労多くして効少なしというところに落ち着くのではないかと考える。
以上、筆者の乏しい知識で思いつくまま述べたため、的外れのところも多々あると思われるが、司法競売の現場で伸吟している評価人の愚痴としてご容赦を乞い願うものである。
以上を総合すると、現時点で想像できる条件は少なくとも次の二つは必須と考える。
1.債務者・所有者・その他の利害関係人(賃借人等)が納得して協力してくれること。
2.配当計算が不要な物件であること。
1の条件がクリアーできなければ、結局執行官にお願いする他はない。
2の条件は、土地・建物の抵当権が同一の債権者であることを意味する。
もし異なる抵当権があれば、配当計算という問題が生ずるため、現況調査と評価人による評価は必須となる。
つまり、配当計算のために内訳価格の評価が必要となるからである。
民間競売で評価するとなれば、評価基準や評価人の教育訓練が必要となるが、そんなことに時間をかける位であれば、現行の司法競売でも十分ということになる。
したがって、民間競売で対応できる案件は極めて少なくなるものと思われ、法改正の実効性に疑問が残る。
ところで、先の二つの条件が整っている物件は、現在でも司法競売ではなく任意に売却されている。
つまり民間競売にすぐに移行できるような物件は、裁判所の手を煩わすことがないということである。
昨今の競売事件の減少をみるにつけ、世の中は既に民間競売にできるものは民間競売に移行しているということを実感せざるを得ない。
申立から売却までに半年から1年で、しかも90%超が売れているということを考えると、民事執行法を改正して民間競売制度を導入する必要性を感じることはできない。
個人的には民間競売を否定するものではないが、不動産の取り扱いや金融制度・文化等の相異から、先に述べたように必ずしも日本になじまないものと思われる。
仮に導入するとしても、関連法整備の煩わしさや実効性等を勘案すると、結局のところ労多くして効少なしというところに落ち着くのではないかと考える。
以上、筆者の乏しい知識で思いつくまま述べたため、的外れのところも多々あると思われるが、司法競売の現場で伸吟している評価人の愚痴としてご容赦を乞い願うものである。
(2006年8月 Evaluation22/「担保執行法制の改正と競売の今後の動向」)